2019年9月21日土曜日

無目的な韓国旅行

韓国旅行してきた。備忘録的にちょっとだけ(と思って書きはじめたらめちゃくちゃ長くなった)。目的は別にない。7~8年前から韓国語を勉強を始めた。集中力・忍耐力がないため全然上達しないが、旅行での会話くらいは何とかなるようになったから、できれば定期的に本場に行きたい、という気持ちがある。旅費も国内旅行するより安いくらいだし。というわけで、折を見て出かけようと常に思っているのだけど、去年は一度も行けなかった。安い、と言っても、自分の経済状況が厳しいためそれなりに覚悟がいる。何か用事がないとなかなか腰が重くなる。今年は、競輪の日韓交流戦が行われる予定だったので、それを楽しみにしていたのだが、この度の日韓関係の悪化でどうも流れることになった(本決まりだったわけではないから中止という決定もなされていない)ため、なら無目的に出かけるか、ということになった。関係悪化を憂う気持ちがありつつ、今なら安いんじゃないか、というセコイ考えもあり、夏休みの最後にでかけることに。これまでは、ひとりで行くことが多かったが、今回は久しぶりに同居人と一緒に。往復の航空券はコミコミでひとり分13000円ちょっと。これまでの経験の中では最安値に近いが、直前に買ったりしたら9000円位でも行けたよう。貧乏人にとって一番心配なのは宿代だが、今回は、初めてairbnbで民泊を探して行ってみた。二人別の部屋がいいから二部屋以上あるところを見たが、一泊あたり4000円強くらいのを見つけた。もちろん二人分で。いつもは一人3000円くらいの最低ランクのゲストハウスに泊まることが多いけど、比較にならない快適さだった。これからはずっとこれを使おう。人気になったら嫌だし泊まった部屋は秘密です。セコくてすみません。

日本の大手メディアの最近の大本営発表ぶりは目も当てられないレベルで「日韓関係」関係のニュースは一ミリも信用できないのだが、それでも、不買運動もあるだろうし、今までとはちょっと違う風景も見られるかなと期待もあったが、結果として、今までと何も変わらないというか、全体として韓国社会の雰囲気はこれまでより穏やかなように見えるくらいだった。秋の始まりで、気候が特に良かったからかもしれないが。

関空からインチョンへ。関空自体、めったに来ない。来るだけで、テンションはあがる。ああ、もっと頻繁に旅行に行きたい。出国の際、パスポートが電子化された云々で、ハンコが廃止になっていた。希望者には押してくれるというので、一応押してもらう。スタンプラリーみたいな扱いになっている。帰りはお願いし忘れた。韓国にしか行ったことのないパスポートだが、一応見返すと記録になっていたのだけど、これからはその役にも立たなくなるだろう。

インチョンから市内へは空港鉄道で。バスの方が荷物の面で楽だが、倍の値段がするから電車にする。約500円。数年前に買った交通カード、イコカみたいなやつにお金を補充して乗る。これ一枚でバスも地下鉄も乗れる。ソウル市内では、どちらも一回100円ちょっと。食べ物なんかは大阪よりもずっと高くなっているのに、交通費だけは半額くらいだ。公共サービスは住民のためのもの、という意識があって反映されているように思われる。それに対して、日本は… (公共政策、経済などに関してはど素人のため何か間違っているのかもしれないが)インチョンからソウル市内って、関空から大阪市内と似たようなものか、もうちょっと遠いかくらい。JRなら1000円超えるんだから、韓国は安い。

宿はホンデのあたり。ホンイク(弘益)大学の近所で、若者の街としてしられる。渋谷みたいなものか。渋谷もよく知らないけど。まずは宿に向かうことにする。今、タピオカ黒糖ミルクが大ブームだと同居人が調べていた。タピオカミルクティーブームの後に来たみたい。ふた昔前は、日本の流行が遅れて韓国へ、という形だったが、最近は逆で、二年前に韓国で流行っていた携帯扇風機が今日本で流行する、みたいになっている。黒糖ミルクも流行るかもしれない。200円弱という安いのがあったので買う。食券買う機械で外国人らしくモタモタしていたら、イケメンの店員さんが「カード、すぐに入れてください」と日本語で指示してくれた。若いイケメンの日本語可能率は高い、気がする。もしかしてアイドルの練習生だったんじゃないか(というくらいイケメンだったらしい。同居人談。自分はあまり見てなかった)。

宿にたどりつき、満足し、ミョンドンのあたりに行ってみることに。これまでに何度も来たミョンドンは、通りをあるけば日本人だらけという感じだったが、ちらほらとは居たけど、中国人、その他、東南アジア系の人の方が多いくらいに見えた。ホンデは若者の街すぎて落ち着かないが、ミョンドンは、韓国人でも地方の人がソウル旅行で立ち寄ったというような、お上りさん的な人が多く、雑多さ、年齢層の高さが、何となく落ち着く。新宿とかそんな感じか。何度か行った、ビビンパ屋に行く。観光地の有名店で、田舎者御用達という雰囲気だが、美味しい。案内されたら隣は日本人の高年夫婦で、後から来た、日本人の若い女の子二人組も近くに座らされた。日本人同士、固めているのか。美味しくいただき、地下鉄で帰る。

次の日は、韓国人の友だちに聞いたおススメのテジクッパ屋に行った。探すのに苦労した。近くまで行くと、日本人の一人旅女性が「日本人ですか?」と声をかけてきた。どうやら同じ店に行こうとして発見できないよう。彼女は韓国語全く分からないというので近くのコンビニに入ってそこのおじさんに聞くと、「すぐそこやで」みたいな感じで無愛想に教えてくれた。韓国の人はだいたい無愛想だけど、だいたい頼んだことはきいてくれる。昼前だったが、店の前に人が並んでいた。近くの会社のサラリーマンと日本人観光客が半々という感じ。おしゃれなカウンターだけの店で、超あっさりスープで上品な味だった。どことなく日本風味もあり。こういうのが人気なんだな。店員の一人が、やはり背の高いイケメンで、日本語がペラペラだった。合流した一人旅女性によれば店員に日本語が通じると情報があったらしい。なるほど。美味しかったけど、韓国らしさはあまり感じられない気もした。その後、ソウルの中心地に行き、歩いたりする。夕方は、民芸品街のインサドン。世界中から観光客が来ているが、日本人率は低めではあった。

晩飯は有名な参鶏湯屋、土俗村に行く。景福宮の西隣にある。辛くない韓国料理の代表で、美味しいのは間違いないから来るたびに参鶏湯は食べている。土俗村も自分は二回目、同居人は三回目だった。が、毎回、ものすごい値上げをしていて、今回は一人前1800円だった。日本にいたら、そんな高級な晩飯絶対食べないが、折角だからと食べることに。前回来た時は、たぶん1200円くらいだったはず。その時でも「ちょっと前は700円とかだったよ」という話をしていた。中国人、西洋人の観光客が目立った。美味い。けど、高すぎだな。これが1000円位なら素直に美味いと思えるけど、こんな値段なら、うーん、という所。次はもうないかも。さようなら、参鶏湯…


韓国の飯は量が多い。あっさりテジクッパに、参鶏湯という、おじや系のメニューが続いたが腹は一杯になって二日目は終わる。

3日目は、昼ごろ出た。二人で一緒に行動する時間が長くなるとどうしてもケンカになったりもして、朝から計画してどこか行こう、という風にできなかった。とりあえず冷麺でも食べるか、と持って行った古いi-padで近所の冷麺屋を検索して探してみる。近くに人気店があり行ってみたら行列ができていて、しかもお上品すぎる感じで「美味しくないだろう」という同居人の判断に従い、ホンデの駅近くでもう一件あったグーグルで★4つついていたところに行ってみる。地図の指示通りに行くと、駅前にあるけどとても古いビルの地下で、まるで従業員社員食堂のような、何とも昭和な雰囲気の漂うフードコートがあった。バシバシ写真を撮りたかったが、それもはばかられるような雰囲気。そこに出している一軒の店が、情報にあったピョンヤン冷麺の店だった。南北会談、韓国の芸能人らがピョンヤンを訪問したとき食べていた冷麺がおいしそうだったというので、去年は韓国でピョンヤン冷麺のブームがあったらしい。でも、ここはそんなお客さんが押し寄せたような感じの店ではなかったが、何とも雰囲気がよかった。穏やかそうなおじさん二人がやっていた。超あっさりスープで食べたことがないような味だった。美味しいけどちょっと味が薄すぎる気もする。付けあわせは水キムチと大根の浅漬け。とても美味かった。が、これもあっさり。同居人が「キムチとかないですか」と聞いたら赤いのを出してきてくれた。大根の葉と、蕪か何かのキムチ。美味かった。が、これも珍しい味付けだった。もしかして、北の人じゃないかな、というのが同居人の推理だった。ソウルで飯屋をやっている人にしては、なんとも穏やかで、地方の人というのともちょっと違う雰囲気だったのは間違いない。脱北してきて、ここでピョンヤン冷麺を売っているんだなぁ、と勝手に妄想をする。会計する時、店員に「もしかして韓国の方では…」と聞かれたので「日本から来ましたよ」と答えると、嬉しそうな顔をしてくれた。「(外国のお客さんが)何でわざわざうちの店に?」「ネットで調べたんです。美味しいって書いてましたよ」とやりとり。あんまり観光客は来ないみたい。超穴場な雰囲気で面白かった。基本の冷麺一杯、900円。日本で言ったら、ざるそば一杯って感じだとすると、あの雰囲気からしてもやっぱりかなり高い。物価はめちゃくちゃあがっているのだ。日本が安すぎる、という人もいるけど、どうなのだろうか。
「フードコート」の一角。雑然とした雰囲気。

そんな「フードコート」で食べたピョンヤン冷麺

道路の真ん中に路面電車みたいに停車場が整備されている
その後、バスで、ヨイドの方に行ってみる。ソウル市内はバスが蜘蛛の巣のように走っている。幹線道路は、バスレーンが整備されていて便数も多くとても便利。ただ、全体に案内は不親切で、もたもたしていたら乗せてくれない、降りられないという危険性もあり、何ともいえない「激しさ」があるので、最初はハードルが高い。前回の訪韓くらいから何とかバスに乗れるようになって、韓国初心者から中級に上がったような気持ちになった。地下鉄よりは景色が見えるし楽しい。

ヨイドは、漢江の中州で、国会議事堂やNHKにあたるKBSがあったり、大きな銀行の本社が並んでいたりする、韓国政治の中心地だ。漢江公園を散歩してみようと出かけた。平日の昼間だと言うのに、大勢の人がテントを張ったり、ビニールシートを敷いたりして、くつろいでいた。パソコン持ってきて勉強している若者、ベタベタしているカップル、家族連れ、中年女性の集団など色々だった。貸テント屋も出ていたが、基本、時間を過ごすのはタダだ。

ソウルの街中には、いたるところにベンチがあり、こういう大型の公園もある。日本では、外で時間を過ごすには必ず金がいることを思うと、なんという違いだろうと思う。日本よりある面では激しい競争社会で、物乞いをしている人もチラチラ見かけはするが、鉄道料金の安さといい、こういう公園のあり方といい、公共サービスという点では大きな違いがある。街中には無料の携帯充電サービスも結構あった。自分はガラケーで、今回はもうギャザリングサービスもなくなったので持ち歩いていなかったが、スマホの人には便利だろう。日本だったら、金儲けを圧迫するからと絶対やれないはずだ。公園で飲んでいる人らも多いが、飲み屋もにぎやかだった。当然だが、商売と公共サービスは共存できるのだ。(と、思う。)

漢江クルーズに乗って見ようかと思ったが、ザ・観光客という人しか乗っていないようで、しかもそのあたりをちょろっと回るだけで1800円とかだったので、つまらないだろう、と判断してやめた。道頓堀クルーズみたいなものだろう。そっちの方が面白いかもしれない。あれも、自分は一生乗る事ないだろうけど。広大な公園を歩いて、国会議事堂の方に行ってみる。デモらしいことをしていたのは、労働組合系だった。何を主張しているのかはわからず。そういえば、前日は光化門広場の前で、韓国の右派グループがデモしていた。「ムン大統領辞任しろ!ジョグクは辞めろ!」を連呼して、韓国国旗と星条旗を振って行進していた。日本の報道ではムンジェイン、ジョグクが悪者で、こういうデモ隊が「民意」として紹介されている。本当にめちゃくちゃだが、どうめちゃくちゃか、何の知識もない人に説明するのはとても面倒くさい。それをいい事に好きなように報道しているのだからたまったものではない。その件は、また、別に書こう。

今回目撃した唯一の「NO日本」
「日本製品は買わない!」みたいな横断幕、街中で少しは見かけるかと思ったが、ほとんどなかった。目を皿のようにして探ればどこかに発見はできただろうけど、普通にしていたら分からないレベルだった。そんな中、国会議事堂前で初めてその手の横断幕を発見。自分の語彙力では見ただけでは意味が分からなかったが帰って調べると「NO日本 伴侶文化 OUT」と書いていて、出したのは「大韓育犬協会」だった。犬食について反対意見も高まっている中で、食用犬文化を守ろうという保守系の団体のよう。韓国では、ペット用品を含め、ペット文化の先進国として日本を捉える視点があるよう。人間のための家畜という考えから、人生の伴侶として動物を飼う、という考え方に変ってきていることに対し犬肉愛好家たちが危機感を持っているらしい。なかなか複雑だ。とにかく、今回見た「No日本」はこの一本だけだった。ひと月くらい前なら、もう少し発見できたのかもしれないが、わからない。

そこからワールドカップ記念公園へ行って、大型公園めぐりをしようと思ってバスに乗ったが、方向を間違えてしまい、目的地を変えざるをえなかった。やはりまだ「入門」段階だったよう。宿のサービスでポケットワイファイがついていたので、グーグルマップで今、どこを走っているのか確認しながら降りる場所を考える。とりあえず、終点方面の光化門近くまで行き、そこがバス路線のハブになっているので、乗りかえることにする。乗り換えは30分以内なら無料のため降りてコンビニで飲み物などを買って次の方向へ。金持ちの街カンナムに行ったことがない、と同居人が言うからとりあえず行ってみる事に。(自分は、6年くらい前に行ったことがある。KARAのイベントがあって、のぞきに行ったのだ。あと、韓国人の友だちとランチを食いに行ったこともあった。)このバスはかなり混んでいた。漢江より北はバスレーンの整備が進んでいるが、橋を渡って南下するとかなりの混み方になってなかなか進まなかったりした。自動車の数はものすごく多い。カンナムで降りるも、周りを見て、別に行きたい店もないので「見た」ということで、すぐに移動する。乗継無料だし。ちょっと戻ってシンサドンに。「シンサドンのあの人」という有名な演歌のヒット曲がある街。カロスキル(街路樹街)という有名なところを一応目指すも、オシャレな店が並んでいるだけで自分らには関係がない街だった。ただ歩くだけになった。カンナムは地形的にかなり凸凹していて、雰囲気としては神戸の山の手みたいなところもある。小高い丘を越えてアックジョンへ。ここは、整形外科銀座として有名なところで、いたるところに整形外科の看板がかかったビルが立ち並んでいる。中国語の看板も目立つので、中国人もターゲットになっているのだろう。日本人もここでやってもらっている人、少なくないはず。

梨泰院の山の上からソウルタワーを眺める
その後、梨泰院方面に行く。ここは、米軍基地に近く、外国人が遊ぶ街としても有名。知らないけど六本木みたいな感じか。それよりは、沖縄のコザとかの方が近いか。コザも一度ちらっと行っただけでよくはしらないけど。ここも北側が山になっていて、歩いて散歩してみる。同居人は酒も飲まないし、共に金もないので店には入らずただただ歩いた。大金持ちのお城みたいな邸宅が並んでいた。あとは、外国の大使館なども。多国籍な雰囲気は楽しい。

遅くなって、ホンデの方に戻る。晩飯は、自分が以前ひとりで来た時に良かった「キサ食堂」に。キサ(技士)は、タクシー運転手のこと。彼らが仕事途中に一人で食べに行ける店ということで、一つのジャンルを形成している。韓国は最近まで一人でご飯を食べるという習慣がなかった。だから、一人客を想定していない店も多かった。そんな中、「一人飯」という文化が、ちょっとだけ広がりを見せ始めているらしい。自分は前に来た時に、それを表す「ホンパプ」でネット検索して、探したのがここだった。一人飯の普及の中、一人飯を想定して営業してきた運転手食堂が一般人に発見された、という感じか。前来た時に安くて美味かったのでまた来たかったのだ。9時過ぎに着いたが、かなりの人でにぎわっていた。よく見たら、次長課長河本、森三中黒沢がロケに来た時の写真が大きく掲げられていた。それくらいの有名店ではあるようだ。豚焼肉定食、牛焼肉定食をたのむ。他に、鯖定、チゲ定など。まぁ、松屋みたいなもの、と言えなくもない。辛いイカ炒めがあるのが韓国らしさか。あと、松屋との違いは、キムチ、ニンニク、サニーレタス、ご飯はセルフで追加し放題ということ。それにミニそうめんと目玉焼きひとつとモヤシのナムルがついている。普通といえば、普通なんだけど、その普通さが良い。ご飯も炊きたてで美味しかった。同居人も「今回の旅行一の食事かもな…」と言っていた。豚定900円、牛定1000円は高いか、安いか。満足度は高いけど、値段に関しては、やよい軒より高いって結構なものだな、というのが貧乏日本人の感想だった。
運転手食堂の豚定・牛定(2人分)

テレビがあって、日本のニュースが流れていた。東京で韓国学園の女子生徒が、日本人の50代女性に「うるさい」と言われてドアにぶつけられる暴力を振るわれ病院に行った、という内容だった。とうとうそういう事が起こってきたかと暗い気持ちになる。隣に座っていた、職場の先輩後輩という感じの男性二人組はテレビをぼんやりながめて、ボソボソと感想を漏らし合って、また食事に戻っただけだった。このニュース、さすがに、日本でも大きくなっているだろう、ネトウヨは捏造とか騒いでいるんだろうな、と思って帰って来たら、ニュースにすらなっていなくて呆れた。想像の遥か上を行っている。今の日本の報道は。私人同士の小競り合いくらいがニュースになるか、というなら、日本人の女の子がソウルでナンパされて断わって暴力を振るわれたニュースだって同じだろう。あの時はあれだけ大騒ぎしながら、ニュースにもしないなんて、被害の歴史は記憶し、加害の歴史はすぐ忘れる「日本」そのままだ。

初日、ミョンドンのマートでマッコリを買った。一リットルで120円。マッコリは非常に安い。韓国で安い酒といえば焼酎だが、あれは正直全然美味しいと思えない。人工的な味付けで。マッコリも普通のは人工甘味料が入っているが、ここで見つけたのは無アスセルファムをうたっているものだった。これはいいと思って買って二日かけて飲んだ。カルピスみたいな味で美味かった。最後の夜にもう一本飲みたいなと思って近所のコンビニで探すも、人工甘味料入りばかりしかなかった。ちなみに、宿近くのコンビニでは日本製ビールが売っていなかった。他ではちょくちょく見かけたので、ここは不買運動に参加しているんだと分かった。韓国で日本ビールってかなりのブランドで、割高なのに人気があったのだ。ただ、近年は韓国のビールメーカーも頑張って負けないものを作って人気を高めている所だった。そこにこの不買運動。本当に日本政府はバカだ。折角のお客さんを…。ならこの店は、日本製品は一切置いていないかというと全然そうではなかった。ベビースターラーメンもあったし、日本酒の「まる」なんかもおいてあった。ビールはシンボルということなのだろうな。それだけ人気があったことの裏返しだろう。周りを見ると、寿司屋だったらしい所が看板を外していたり、内装工事をして商売替えしているように見えるところは何カ所かあった。6月位まで、飲食店で「日本イメージ」はプラスの記号で、それを添えて商売している所は沢山あったのだ。今でも営業している日本食屋もあるし、ダイソー、ユニクロなんかも、まぁ普通に営業していた(でも確実に売上げの低下はあったと思う)が、「日本」がマイナスのイメージに変ったことは確実だろう。世界でこれほど「日本的なものが好き」だった国、他にないだろう。(ちょっと幻想を持ちすぎている位に。)なのに、まぁ、ほんとに、政府自ら率先して常連客を逃す方向に動いているんだから、どうしようもない。

というわけで、最後の夜はマッコリを我慢して寝る。

最後の日は、インチョンに昼過ぎにはつかないといけなかった。前日に行けなかったワールドカップ記念公園にバスで行ってみることに。ホンデの観光案内所のお姉さんに聞いたら、とにかくデカいとのことだったが、確かにめちゃくちゃデカかった。万博記念公園の何倍かという感じか。ロッカーのある所を通ればよかったが残念ながら無かったので重い荷物を持って散歩することに。ただただだだっ広い公園であった。前回ひとりで訪韓したときに、蚕室のオリンピック記念公園に行った。ここは、元競輪場があったところで、その面影を探しにと寄ったのだが、思いのほか良い場所だった。それで公園は悪くないと思って、今回のワールドカップ公園になったのだが、オリンピック公園よりさらに広く、何もないっちゃ何もない場所だった。とにかく、ソウルの住民には、散歩したり、ぼうっと時間をすごしたり、イベントしたりする場所が身近に一杯あることが分かった。飛行機の時間が危なくなってきた。地下鉄の駅の方向が分からなくなったので、歩いていたおじさんにきいてみると、駅方向まで自分も行くから連れて行ってくれるという。なんという親切。日本から来たのかと聞くのでそうだというと、自分も昨日東京に行ってきたとのことだった。野村証券と取引している大手投資銀行で働いていてビジネスでよく東京に行くという。よく見たら、確かに金持ちっぽい。近所を散歩しているただのオッサンだと思ったのだけど。日本語は「こんにちわ」「お元気ですか」しか知らないそう。お元気ですか、は、韓国人の誰もが知っている日本語なのだ。岩井俊二のおかげで。自分は映画見たことないけど。「近頃、ニュースがやかましいでしょ」と笑うおじさん。「そうですね」と答えると、「あんなのは政治的な奴らが騒いでいるだけだから、普通の韓国人はそんなことないからね、私は、隣人だと思ってますよ」みたいなことをおっしゃっていた。どっちかというと「政治的な奴ら」かもしれない自分としては、騒ぐにはそれなりの理由はあるだろうなと思ったりもするが、まぁ、韓国のある種の「普通」の人の態度なのかもしれない。

韓国といえばカササギ(カッチ)
本当にカワイイ
鳴き声はあまりカワイくない…
「あそこに一番の入口が見えるでしょ。あれですよ。空港に行くなら、一駅だけ乗って、デジタルメディアシティで乗り換えですよ」と丁寧に教えてくれて、さようならする。予定よりだいぶ遅くなってしまい、インチョンに着いたら、出発の一時間ちょっと前位だった。航空会社の窓口に行くと、窓口のお姉さんが何かちょっと説明をした。その時は何のことか理解できなかったが、乗ってみて非常口席だったということが分かった。子どもはダメとか色々条件があるらしい。その説明だったか。朝飯も昼飯も食うタイミングがなく、空港で食べる時間もなく、お腹が空いていたが、搭乗エリアではちょっとしたパンもバカ高く、関空まで我慢することにする。チェジュエアとかエアプサンとかLCCでも軽食が出たこともあるが、今回のイースタージェットは完全オプションということで水も出ない。安いのでいいのだけど、今回はおにぎりひとつでも食べたいなという所だった。

非常口席に座ると、CAさんが来てこれ読んでおけと説明書の一部を指さされた。非常時には率先して他の客を誘導せよ、とかそういう事が書いてあった。非常口ルールで、小さな手荷物も上の荷物入れにしまわなければいけないかった。隣に座った日本人の女の子、大学生くらいだろうか、本当に常識のない感じで、同行の仲間とぺちゃくちゃ喋っていて、CAさんの指示にも「はぁ?」という態度だった。イライラしてはいけない、見ないようにしなければ、と自分に言い聞かせた。離陸する前に、いきなり持ってきたパンを食べ始めた。美味そうだった。彼女らは、韓国で何を見てどんな思い出を抱えて日本に帰るのだろうな。

関空についたらもう夕方。エアロプラザにあった松屋で焼肉定食を食べた。美味かった。タイかベトナムの人だろうか、若い観光客のグループが隣で食っていた。肉ダブル定食に生ビールまでつけていた。自分らよりかなりお金を持ってそうな若者たちだった。いいな、今から海外旅行なんだな。と、一応海外から帰ってきたばっかりなのに、もはや羨ましい気持ちになった。

また行きたいですな。できるだけ早く。仕事で行ったりもしてみたいな。そんな機会なさそうだけど。

というわけで終ります。