2011年10月25日火曜日

大阪の一番熱い日

日曜日。ツイッターで、KARAが大阪に来るという情報が流れた。ソウルの空港から出国したという記事が、昼前にはすでに韓国のニュースサイトに出ていた。

ツイッターや2chのウワサでは、新世界でロケをするとのことだった。その後、よしもと新喜劇にも出るという情報も。

ソースもないし、本当かなと思いつつも、わざわざソウルまで見に行ったKARAが、大阪に、目と鼻の先に来ているのだと考えると、なんとなくソワソワしてくる。

でも、そんな不確かな情報で、新世界まで行って追っかけるのもなぁ、と思って、家で洗濯などしていると、昼ごろには、「新世界にカラ登場」というツイッター情報が流れた。「目の前を通った、チョーかわいかった」みたいな。

ああ、行けばよかった。なんでもたもたしてたのだ。激しく後悔の念にとらわれた。
行って、見て、それで、何になるのかって話だが、そして、バカバカしいのは分かっているのだが、とにかく、見たくて仕方がないのだ。

時間は二時を回っていた。新世界なら、串カツ屋のロケなどだろう。2時間くらい撮ったら、すぐ移動だろう。新世界まで、40分くらいで行けるが、もう間に合わない。
でも、家にじっとしていられない。

新喜劇に出る、というあやふやな情報をもとに、とりあえず、ミナミまで行ってみることにした。
運がよければ見られるかもしれないし、まぁ、ダメなら本屋でもよって帰ってこよう、と。

なんばグランド花月の周辺に到着。しかし、普段の日曜のこのあたりと変わらない。超若手芸人たちが、劇場前にたむろするお笑いファンの女の子たちに、ライブのチケットを売ろうとしている姿を見かける。たこ焼きを頬張る観光客もちらほら。

もし、本当に、新喜劇に出るとしたら、3回興行の三回目かなと思いダメもとで劇場に入ってみるかと思ったが、チケットは完売だった。もちろん、「特別ゲストKARA」というような表示は全くなかった。
ちらっとジュンク堂を見て、劇場のまわりをウロチョロする。


松竹座のまわりにも行ってみる。KARAのリーダー・ギュリが現在出演しているミュージカルをやっている。法善寺横丁とかも。グリコのマークのところとかも。KARAには出会えず。まるむし商店の磯部っちが歩いているのを見たくらい。うーん、違いすぎる。


 (戎橋に来ると、大阪に来たって感じがする、のだろうな。路上アイドルがパフォーマンスをやっていた。)


(水かけ不動。最近、カワイイ野良猫が住み着いています。)
折角だからところどころで写真を撮ったりしながら。大阪観光ごっこ。仕方がないのであきらめて、大阪城公園に行ってみることにする。

この日は、「ワンコリアフェスティバル」が開催されているのだ。
これは、大阪の在日コリアンの人たちのイベントで、南北の分断を乗り越えて、という意味を込めた祭りだ。屋台とかも出るみたいだし、韓国の雰囲気を味わいたいなと思って、行ってみた。
在日のオトモダチSさんに行かないかって誘ったのだが、前に行ってあんまりおもろなかったから、行きたないわ、と言われたのだった。

道頓堀から、大阪城へ。まさに、大阪観光のベタベタコースだ。

大阪城公園に来るなんて、10年以上ぶりだなと思いながら、森ノ宮駅から公園内を歩く。
野外音楽堂が大変な盛り上がりだった。こっちは、琉球フェスティバルだった。同じ日に、在阪マイノリティの集まりが、近くで行われているのね。
しばらく行くと、かなりの大きさの広場に到着。韓国料理や物産の屋台が取り囲み、正面に舞台が組まれている。

舞台の上では、なぜか、山本太郎が登場して、脱原発を訴えていた。
(舞台上の山本太郎。右は朴保。)
前日の土曜、よみうりテレビでは久しぶりに『ミナミの帝王』の再放送をやっていた。山本も出ていた。山城新吾も元気に登場していた回だったので、だいぶ昔のものなのだな、と思ったものだった。

私も、原発はなくしたほうがいいと思っているし、テレビタレントもどんどん自分の意見を言えばいいし、そういう意味で山本太郎には頑張ってほしい、のだが、妙な「シンボル」みたいにさせられている姿は、少し見てられないような気分にも襲われた。

とか、なんとか、いうよりも、「ワンコリア」とぜんぜん関係ないがな。

このイベントが、相当な苦労の歴史の中で作られたものだということは分かるし、イベントを担ってきた人たちが反体制的な立ち位置になるのは必然的だということも分かる。
で、みな、反橋下だろうし、反ネオリベラリズムだろう。
で、反石原であり、反ブッシュ。
ということは、反格差社会に違いない。ってことは、当然、反原発なのだろう。

とはいえ、なんだかなぁ。
ここでの山本太郎は、とってつけたような、リベラルっぽさ演出にしか見えないものだった。

もう最後の時間なので、トリのパクポーのライブが始まった。パクポーは、在日のアングラミュージシャン。
何年か前に、東京でのイベントで初めて見たときには、メジャーでないところで地道に活躍している姿に感動を覚えたし、十三の映画館に来たときにはお金を払って見に行ったりもしたのだが、何だか、この日は白けた気分になってしまった。

広島、というタイトルの歌。ただただストレートな、反核のメッセージ。広島、長崎、チェルノブイリ、フクシマ、などとキーワードを並列で叫びあげる、というような。ストレートなものは、伝わるときには伝わるけど・・。

芸人マキタ・スポーツのネタで、「歌がうまい歌」というのがある。ミュージシャンって人たちは、結局、「俺は歌がうまい」っていうのを言いたいだけなのよ、というパロディネタ。この日のパクポーは、歌声は、そんな感じに聞こえてしまった。もちろん、受け手の心理の問題ではあるだろうけど。なんてったって、こちとら、韓流アイドルの追っかけのついでに立ち寄ってるのだからな。

天気が悪かったのもあって、イベントの参加者自体少なかった、300人くらいはいたかどうか。町内会に動員をかけられる区民祭りくらいの規模かな。
パクポーのライブを聞きながら、周りの様子を見る。おそらく、何年か前のこのイベントにはなかったであろう屋台として、韓流グッズを売るテントがあった。
テレビ大阪でやっていた『恋するコリア』に出いてた、美女の方も来ていた。

(記念撮影に応じる、ミュージシャンのSORAさん。)
そして、新大久保発の韓流(?)男性グループも来ていた。
聞いたことがないグループだったが、それなりに、カッコいい雰囲気で、参加者のうち若い女の子などが写真やサインを求めて人だかりになっていた。

(プログラムによれば「SEED」というグループらしい。日本発の韓流グループって・・。)
隣のステージでは、パクポーが反核のメッセージ。すぐ隣では、韓流(?)アイドル(もどき)。
主催者が、そのグループの人たちを、パクポーステージの前に行くように促していた。周りに集まった女子たちを、パクポーライブに巻き込むため。

パクポー氏は、ちょっと神がかったルックスをしている。
喜納昌吉のような、あるいは、ギリヤーク尼ケ崎的な。とういことは、ちょっと麻原的な。

そんなパクポーが、『イムジン河』を韓国語で歌いだした。まさに、魂で歌っている、という感じ。
その前で、金髪を撫で付けるスタイルでキレイに着飾った、韓流アイドルが手拍子をする。とてつもない違和感。まわりでは、目をつぶって聞いている人もいる。アイドルについてきた人たちは、なんとなくつき合いでステージを眺めている。遠くで、知り合いとマッコリを飲みながら、ぼんやりしている人たちもいる。

2番は、日本語だった。飛びゆく鳥よ、自由の使者よ。いつも『イムジン河』を聞くと、心が震えるような気分になる、のだ、けど、目の前の様子があまりにシュールすぎて、この歌さえ耳を通り抜けてしまったのだった。

先ほど、難波にいたとき、妹に電話をしていたのでコールバックがあった。難波が職場なので、飯でも食わないかと誘うつもりだったのだ。KARAに偶然出会う望みを捨てきれず、もう一度、ミナミへ戻ることにする。

パクポーの歌声が響きわたる中、地下鉄の駅へ。
フェスティバル会場のすぐ北には、大阪城ホールがある。

この日は、ホンモノの韓流スター、チャン・グンソクのコンサートなのだ。
当日の立見券を求める、長蛇の列。会場前の広場には、ひとひとひと。99.5%くらいは女性、という感じだった。年齢層は幅広い。ダフ屋も出ていた。

3年前、大学のイベントで朴一さんを呼んだ時、「韓流は在日を飛び越えている」という話をしていたが、しみじみとそれを思わせる落差だった。

ミナミで妹に合流。普段あまり会わないので仕事のことなどをきく。
何でミナミに来てるのと聞かれ、「いゃぁ、KARAがね、ちょっとね、あれでね」というような話をする。

「KARAとか好きなん?意外やなぁ。そう言えば、今日、新喜劇出るねんで」と言う妹。
「えーっ!??それ、やっぱりホンマやったんや!」と前のめりに答える私。

二日ほど前、職場のファックスに連絡があったらしい。彼女は、今、広い意味でよしもと関係者なのだ。公にはしていないけど、関係者には当然告知があったのね。

「兄ちゃん、もしかして、行きたかった?言ってくれたら入れたのに。」
う、、、、。惜しいところで、「カンケーシャ」の家族の特権を行使できなかったのだった。

「じゃぁ、今度来たら、連絡したげるわ。」
あ、ありがとう、よろしく、と答えつつ、あー、もう二度とKARAはNGKには来ないだろうな、大阪にも当分来ることもないだろう、本当に惜しい機会を逸したのだなぁという思いで、ガックリ来てしまったのだった。

こんな思いするくらいなら、いっそのこと韓国に移住したい。いつでも見に行けるとなると、すぐ、慣れて、醒めるだろうし。すぐどうでもよくなるに違いないから。

Posted by Picasa

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