2018年3月23日金曜日

東京行ってきた

東京に行ってきた。何年ぶりかで学会発表をした。せっかく本を出したのだし、活動していることをPRしようと思った。これまでよりは面白い報告をできた気もするが、自己満足である。小さい学会の一般発表なんて10人くらいに聞いてもらうだけであり、言わば路上ミニライブ規模だ。締め切りギリギリまで準備できないクズなので、出発当日になってもまだもう少しパワポいじらないと、という感じだった。以前に比べたら、ずいぶんマシになったのですが、これでも。交通費をできるだけ安くしたかったのだが、結局、行きは新幹線を使わざるを得なかった。割引チケット屋で13000円也。下手したら韓国行って帰ってこれる額だ。高いな。早めに計画立てて、ぷらっとこだま(1万円)とか買っておくべきだったな、と後悔の念に襲われつつ、新幹線に乗る。(ぷらっとこだまは早めに買わないと買えないので。)決断の遅さが、常に問題なのだ。

新大阪に行くと、自分にとって贅沢なこの乗り物に平気な顔をして乗る人たちが山のようにいる。そのことにいつも圧倒される。自分も、さすがに「大人」だから平気な顔をしてはいるが、内心はそわそわしているので、疎外感を抱く。知人でも、高速バスを使って移動するのが当たり前、というような人たちは、皆「フリー」だ。新幹線には、遊びで乗っている人も多いが、多くは仕事のために「組織」の資金で乗っているのだ。遊びで乗っている人も、だいたいは、組織に属しているために得られる安定収入のおかげである。現代社会は組織で成り立っている、ということは、もちろん、ずっと「知っている」ことだが、でも、それを「しみじみ分かる」というのはまた別の話なのである。

組織に入るための努力を怠ってきた自分のアホさをあらためて嘆きながら、自由席の窓際の席に座る。去年、1万5千円で買った中古ノートPC(これは良い買い物だった)を広げて、パワポの整備をする。まるで出来るビジネスマンのよう。宿も決めておらず、どこかカプセルホテルにでも泊まろうと考えていた。出る前にチェックしていた、こましな感じの所に電話してみたが、満室と言われた。土曜だから、当然か。急に焦ってくる。前日、夜中まで準備していて、3時間しか寝ておらず、結構フラフラであった。発表は次の日の朝。少しは快適に寝られないと厳しい。スマホ持ってないから新幹線内で調べるわけもいかないので、東京駅に着いてから、他の候補を探す。JRの駅内は、フリーwifiが使える場合が多い。以前よく使った山谷のゲストハウスで、バックパッカー向けにドヤを改装した所も満室だった。去年の夏に泊まった、寝台列車の寝台を使ったゲストハウス北斗星にもかけてみたら、4500円と言われて却下。土曜だから高いのだ。面白い宿だったが、あの空間でそれは高すぎる。宿も決めずによく東京まで来たものだ、と自分の馬鹿さ加減に今さらおどろかされる。元気なら、そして明日も別にただ遊ぶのなら、ネットカフェでもかまわないのだけど、発表もあるし、せめて安眠はしたいなと。今さら知人の所に電話して泊めてもらおうかと思ったが、それならもっと早く言わないとな、それに準備がどうなるか分からない以上、ここはやっぱりカプセルホテルがベストだろうなとめぼしいのをリストアップする。そうこうしている内に時間が無くなり、会場の御茶ノ水近くの大学まで向かう。

いろいろ懐かしいお顔にあれしたり、あれこれ複雑な感情が湧き出してきたりもしたが、寝不足と疲労のため半分夢を見ているような感じで流れ去って行った。学会の雰囲気がどんなものかを確認し、一般発表だけ聞いて企画のシンポなどはパスすることにした。上野のカプセルに電話したら、予約するまでもなく空いていると言うので、とりあえずホッとする。神保町までちょっと歩き、古本を少し眺めて、そんなことしている場合じゃないや、とりあえずレジュメ作らないと、ということになる。USBメモリに入ったPDFをコンビニでプリントして、レジュメを作る。便利。でも、便利だからここまで引っ張ることになる。それでも、前日に出来上がったのは自分としては、ずいぶんマシだったりする。70枚用意しろとのことだったが、50で十分そうだった。A3裏表の一枚だが、20円×枚数なので50作ったら1000円も飛ぶのである。念のため多めに、とかいう贅沢はできない。実際、50でも大分余ったから間違いではなかった。宿に行き、近くのリンガーハットでチャンポンを食べ、宿の大浴場に入り、サウナでぼんやり映っているテレビをながめて、カプセルで寝た。つかれていたので朝まで眠れた。

次の日、朝一で会場に向かい、発表はつつがなく終え、さてどうしようということになった。最近、競輪場の取材に同行したJさんに連絡したら、ちょうど空いているというので、飲みに行くことに。自己満足の発表以外にもう一つ何か出来たのなら、交通費のもとも少しはとれたな、と嬉しくなる。午後の学会にも一応参加して、Jさんと会食に。これが無かったら、もう夜行バスで帰っていたかもしれない。宿は決めていなかったが、同じカプセルならいくらでも空きはありそうだったので、また泊まることにした。その後、どうしようか考える。別に急いで帰る必要はないのだ。もう一日くらい居ても構わない。この機会にどこか観光にでも行こうかと考えたのだが、しかし、どこにも行きたい場所がない。もちろん、お金に余裕があったら違うのだろうけど、わざわざ金を出してまで、と考えると、思考がストップしてしまうのだ。加齢による好奇心の減退というのもあるだろうな。残念ながら、競輪場もどこも開催していない。(本当は京王閣に取材に行こうかと思っていたのだけど、場外発売さえしない休業日だった。)とにかく、時間的自由があっても、金がなければ自由ではない、ということだ。

上野のカプセルホテル、二日目の夜は、隣の客のイビキに苦しめられ、全然寝付けなかった。疲れすぎ、解放感から興奮して喋りすぎ、その他いろいろ原因はあったのだろうが、とにかく苦しかった。せめてビジネスホテルに泊まれる旅行がしたいなと思うも、耳栓を持って来ればいいだけの話かもしれない。本当なら持ってくるのだけど、忘れてしまったのだ。あくる朝、Jさんと自転車文化センターに行く約束をしていたので、寝不足のまま待ち合わせ場所の目黒に。帰りは、昼行の高速バスに乗ることにした。3列シートで6500円くらいだ。最終が、東京駅14時過ぎだったのでそれを選ぶ。何年も前に一度だけお会いした学芸員のYさんと久しぶりにお話をして、資料を見せてもらう。面白いものがあったが体力的に限界で、また今度ということになる。本を書く前に見ておくべきものだったが、まぁ内容に影響があるものではなかったので、ちょっと安心する。Jさんと分かれて、東京駅に戻る。八重洲口近くの富士そばで朝昼兼用を食べる。富士そば、大阪にも出来てほしい。安くて美味い蕎麦(自分にはあれで十分)が食べられる店が欲しい。同居人からのリクエストのお菓子を探し、バスに乗って帰ってくる。9時間かかるが、うとうとしながらやりすごしたら、それほどしんどくはなかった。本を読む気力はなく、文庫本2冊も持ってきたけど無駄だったなと思った。肝心の学会のことやら、その他はまた今度。今度と言って、もう書けない事がほとんどなんだけど、とりあえず。

しかし、まぁ、何ですね。東京に行くと、社会ってデカいなと改めて思います。そして、自分の挫折の記憶みたいなものともちょっと結びついていたりもして、寂しい感情にも襲われるような、襲われる、なんて言ったら大分大げさなんだけど、まぁ、とにかく、すぐに「帰りたい」という気持ちが湧いて来たりして、嫌になります。帰っても、何の良い事もないのに。東京にしばらくは住んでみたかったなと思うけど、もう過ぎたこと。とにかく、金の心配をせずに、余裕をもった状態で、また遊びに来たいですな。

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