2018年10月6日土曜日

京橋名物に完敗

最寄り駅構内のコンビニでパンを買って、電車が来るまでにホームでかぶりつく、という雑な昼飯になってしまった。仕事は午後からだが、連続で三コマ。家での準備に手間取り、ちゃんとしたもの食って出る余裕がなかった。サンドイッチとかを買えば良かったのだが、ついミルククリームフランスに手を出した。美味い。が、当然ながら、甘い。メシにはやっぱりショッパイ系にせんとあかんよな、と思いながら、乗り換えの京阪電車京橋駅にたどりついた。

ここのホームの売店には、なぜかフランクフルトが売っていて「京橋名物」をうたっている。普段、見かけても「なんで名物やねん」とつっこむだけだが、何せ口の中が甘いものだから、めちゃくちゃ美味そうに思えた。どうするかな、と売店前で突っ立って迷っていたら、近くにいたおじさんが、迷いなくさっと購入した。しかも、二本も。様子を見ていた連れのおじさんに、笑顔で一本さし出した。駅のホームでフランクフルトをほうばる、という子供っぽくも見える振る舞いに、ちょっと照れるような様子でもあったが、二人とも何だか楽しそうで、そして、めちゃくちゃ美味そうだった。甘い口を緩和するために食べたかったさっきの状態を60点とすると、95点くらいに食べたい度は跳ね上がった。が、ここで手を出したら、「二人が食べている様子に誘われた」の丸出しだ。ああ、どうしようかな、とさらに躊躇していたら、別の兄ちゃんが購入した。

これは確実に、さっきのおじさんにつられたパターンだ。美味そうに見えたんだな、兄ちゃんも。しかし、注文時の照れのなさを見ると、誘われたことを意識すらしておらず、まるで潜在意識に動かされているかのようであった。他人が食べている姿に誘われて、つい買ってしまう、なんて、言ってみれば、店側の思うつぼでもあり、何とも主体性がなさすぎる。食べたい度は、身体的には99点になっていたが、心が冷めてしまい「ここは我慢すべき」と断念し、やってきた電車に駆けこんだのだった。何かに勝ったような、逆に、負けたような変な気分を抱えて、職場にむかった。

これが、先週の話。今日も、同じルートで、京橋駅へ。口の中は、さほど甘くなかったが、何の迷いもなく、一直線に売店へ向かいフランクフルトを購入した。どこにでもある、普通の味。しかし、美味かった。「一週殺し」の技をかけられて、負けたような気分だ。「京橋名物」という、あの看板に身体が騙されているのだ。きっと。すごい看板、なのかもしれない。

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