2019年3月2日土曜日

広告に間取り図が流れる日々

転居を考えはじめ、ちらほら近くの不動産屋をまわっている。家賃の安い郊外のURとかもちょっと検討したが、実家のこともあるし、やっぱ近場を中心に見てみることにした。にぎやかな所に自転車で行ける地域に住み続けたいという思いもあったりして。にぎやかな所に行ったところで、ほんとにただ行くだけなのだが。だらだらと長く続いた大学院生活の間、ずっと実家にいた。形式的に卒業しても仕事はなく、学生同様の生活が続き、さすがに居づらくなって実家を出て、自転車で30分くらい離れた町の木造風呂なしアパートで暮らし始めた。中年の入口に入ってからの貧乏暮らしだった。今回、過去の引越しメモを見て確認したら、そこに居たのは6年間だった。10年くらい住んでいたような気がしていたが。陽も当らないボロアパートだったが、住み心地は悪くなく、ずっとここでもいいかななんて思ってもいた。(その頃の日記は、まだmixiに残っている。)短期間、ちゃんとした収入が得られる状態になり、風呂のある所に引越して長い間つき合ってきた相手と同居することにした。十三駅のすぐ近くの面白い場所だった。しばらくしたら仕事の契約期間が終わり収入が激減したので、長期的に住めるようもっと家賃の安い所を探し、その後、何度か越して今に至る。ボロアパートを出てから、もう丸10年経ったらしい。今回確認してちょっとおどろいた。この10年、記憶は、ぼんやりしている。より遠い過去であり、実際には期間も短かったアパート時代の方が、どんなことがあったか、部屋の作りはどうだったか、周りにどんな人が住んでいたか、などの記憶はかなり鮮明だ。揉め事の絶えない二人暮らしを続けるうちに、無意識に、新しい経験を記憶しないようにしているのかもしれない。まぁ、単なる老化だろうが。

そんなこんなで、不動産屋めぐりをするのは約8年ぶりだ。今回、久しぶりに不動産屋めぐりをして以前と大分変ったなと感じる。スーモなどのサイトであたりをつけて、情報提供先としてある不動産屋に連絡して内覧するというパターンで探してるが、以前に比べてネットで得られる情報量が大幅に増えている。不動産屋が持っている情報と、ネットに出ているものにそれほど違いがないみたいだ。以前なら、ネット情報は一種の看板にすぎず、よさげな物件情報でひっぱって、向こうに都合の良い所に押し込めるという商売をしているところが多かったような気がするが。それと関連するのだろうが、営業の人がしつこくなくなったのも、大きく変わった点だ。以前は、内覧して「うーん」と迷っていたら、「何が気に入らないのですか」「どこが良ければいいですか」「ならもっと条件あげてください」などと畳み掛けてきて「早く決めろ」というプレッシャーがすごかった。事務所では、個人情報も詳しく書かされ、電話も何度もかかってきたものだ。しかし、今回行った所はどこも、とてもあっさりしている。最初は担当の人がたまたま感じの良い人なのかと思ったが、3件回って、それぞれキャラクターは違いながらも、押し付け感の無さは共通していた。ネットの普及で、お客も情報をある程度もって来るようになってきたため、あまり無茶はできなくなっているのじゃないか。もう少し深く付き合ったらどうなのかはまだわからないけれども、多分、最近の傾向なんだろうと思う。

わたしは「何かしなければならない事がある」という状態自体、大変苦手で、こういう作業はとても気が重いのだけれども、内覧に行って、そこでの暮らしについてしばらく想像をめぐらしたりするのは、ちょっと楽しくはある。これから、経済的により厳しくなるので、今よりも安いところを探したいのだが、なかなか難しい。内覧して「想像」するも、現状よりさらに侘しい日常しか浮かび上がってこない。こっちの気分の問題もあるのだろうが。しかし、東京ならおそらく狭いワンルームも借りられないような予算でも、幾つかの難を我慢できれば、二人で余裕をもって暮らせるくらいの広さの部屋も探せないわけではない。ただ、ファミリー向けの部屋は、このあたりでは今不足気味なのだときいた。ワンルームはだぶついているらしいのだが。春の引っ越しシーズンは、法人契約の客が迷わずに次々に決めていくらしい。法人契約というのは、転勤の社員のために企業が契約する形式らしく、部屋探し自体は居住者がするのだが、会社が援助をするので負担も軽くパッパと決める人が多いらしいのだ。サラリーマンは定収入がある上に、家賃補助なんかも受けられるんだな。なるほど、組織に属す、というのは強いことなんだな、というとても当たり前のことを、ようやく分かってきた今日この頃である。もうすぐ50歳。どうなるか分からないが、とりあえずあとしばらく探してみるつもりだ。自分の年齢と同じ位の築年数の古いマンションとか、掘り出しものが見つかるかもしれない。

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