2016年9月23日金曜日

傍観してしまう

大阪駅の環状線ホームに降りるエスカレーターの乗り口。寝転がったり、這ったままだったりのお婆さんが、つぎつぎと下から運ばれてきた。上る途中でこけてしまったらしい。気づいた何人かが、大丈夫ですかと近づく。怪我している訳ではなさそうだが、ふたりくらいが立てないままだった。すぐそばに、掃除のバイトの兄さんがいたが、掃除道具をもったまま、空いた方の手でちょっと助けようとするそぶりをくらいで、ほとんどじっとしていた。見ていたひとりのお姉さんが、駅員さん呼んできますね、と、走って行った。親切な人だなと感心する。他にも、職員を呼びに行きますと向かった人がいた。この人も、30代くらいの女性だった。スーツ姿の男性が何人も横を通り過ぎたが、ちらっと見て、大丈夫かなという顔をするだけだった。制服を着た人、つまりここで働いている人は、掃除の彼しかいなかった。彼が動くべきだと考えて、「職員呼んできたらどうです」と声をかけたが、反応せず、じっと倒れたお婆さんを見ているだけだった。まもなく、職員がやってきて、任せたらいいかという雰囲気になり、自分は、ホームに降りて電車に乗った。それにしても、さっきの掃除のバイトの兄さんは、ひどいな。なんてトロいんだ、とムカムカしていた。しかし、よく考えたら、自分も全く同じだったのだ。大丈夫ですかと、微かに声をかけるくらいで、ただ突っ立って、状況見てただけなのだから。彼にしても、駅で働いているとは言っても、掃除関係の職員以外、口もきいたことないだろうし、どうしていいか分からなかったはずだ。人は、他人に自分のダメなところを見る時、腹が立つのだ。軽快に職員を呼びにいった二人の女性が本当にまぶしかった。

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